太陽熱を利用した給湯システムの性能検証、計算モデルの構築、TRNSYSを用いたコンピュータシミュレーションによる導入効果の推定などを行っています。近年は、NEDOの支援を得て、自然循環型太陽熱温水器(太陽熱温水器)、強制循環型太陽熱利用システム(ソーラーシステム)、CO2冷媒ヒートポンプを補助熱源とするソーラーシステムなどの長期実証試験と詳細なシミュレーションの構築・検討を行いました。この成果である、実務者・消費者への情報提供は現在、ソーラーシステム振興協会ホームページで公開されており、近々こちらのダウンロードページからも提供する予定です。

・TRNSYS18を用いたシステムシミュレーションの入門用テキスト(デモバージョンの利用方法含む)をダウンロードページで提供しています。2015年11月に日本太陽エネルギー学会(JSES)の講習会テキストとして作成したものをver.18に改訂したものです。

 

太陽熱温水器の評価・シミュレーション

太陽熱温水器は、太陽熱集熱器と貯湯タンクが一体型になったシステムで、日本では一般に戸建住宅の屋根に設置されます。給水圧力を使って上水をそのまま貯湯タンクにためておくと、日中に太陽熱があたり、自然循環流が発生し、タンク内の水温が上昇します。主な用途は風呂の湯張りで、重力によりそのまま屋根の上から風呂に落水するため、給水・給湯のためのポンプが必要ありません(電気を使いません)。集熱媒体が水であることから、冬期の凍結がネックですが、そもそもまったく電力を必要としないため、極めてエコロジーなシステムです。

研究室では、TRNSYS18を用いた精度よいシミュレーションが構築されています。

 

 

ソーラーシステムの評価・シミュレーション

ソーラーシステムは、太陽熱集熱器は屋根の上に、貯湯タンクは地上に設置するタイプのシステムです。タンクより高いところに集熱器があるため、集熱媒体(不凍液)を持ち上げ、循環させなくてはいけません。このような、搬送動力に外部動力を必要とするシステムを強制循環型と呼びます。集熱器とタンクを分離しているので、それぞれの大きさは任意で、とくに、タンク容量を大きくできるのは屋根荷重が気になる太陽熱温水器にはない協力なメリットです。集熱ポンプの消費する電力は、得られる太陽熱のエネルギーに比較するとごく小さいものです。

一般的には、補助熱源にガス給湯器を用います。不足する熱量を追い焚きしてくれるイメージです。電気(ヒートポンプ)を用いるシステムは、現在は夜間電力を利用して予めタンク内の一部分を沸き上げておく方式ですが、天候予測の困難さ、蓄熱時間の延長、低い外気温度でのヒートポンプの稼働、など多くの理由により、効率は高くありません。今後、夜間電力ではなく、ガスと同様に、不足する熱量のみを昼間にヒートポンプで沸き上げる使い方が普及すると予測されます。

研究室では、TRNSYS18を用いた精度よいシミュレーションが構築されています。